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汚染されたふるさと

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私たちのふるさと福島県浪江町津島。阿武隈の山々に抱かれ、天然の松茸や赤松の産地として知られる美しい山里でした。人気テレビ番組のDASH村の収録が行われていた場所でもあり、理想の「田舎暮らし」を求めて移住した人も多くいました。

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しかし福島第一原発の事故により放出された大量の放射性物質は、北西方向の風に乗り、30km以上離れた津島にも降り注ぎました。それから10年が過ぎても、「帰還困難区域」に指定され、いまだに帰ることができません。 

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自宅の状況を確認するため、許可を得て一時帰宅することがあります。鉄柵のゲートを開けてもらい、立入禁止区域に入ると風景は一変します。自宅の損傷は見るに耐えない状況で、イノシシがドアを破壊し、サルが部屋を荒らし、ハクビシンが屋根裏に住みついています。笑い声の絶えなかったわが家ですが、もうおなじ家で暮らすことはできません。

消えゆく暮らしの証し

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津島の総面積の約1.6%が「特定復興再生拠点区域」に指定され、地域再生を目指した除染作業が始まり、家屋の解体が始まりました。一方で、津島の98.4%は手付かずのまま、帰還のめどはたっていません。

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荒廃した家を残しても、これからを生きる子や孫に「負の遺産」を残すことになります。苦労して土地を開拓した両親のことを想いましたが、やはり取り壊しの選択を選ばざるを得ないのです。

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家族の思い出のつまった家は、山にのみ込まれようとしています。命をつむいできた暮らしの証しは、消えようとしています。100年後の子孫たちへ、ふるさと最後の姿を残したい。

最後の姿を映像で残す

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ドローンで空撮するとはいえ、文字通り「山あり、谷あり」の撮影でした。通信機の電波が届かない場所や、森に覆われて発見しにくい民家もあります。機材を担ぎ、放射能に汚染された山を登り、谷を渡り、1軒1軒を探し歩いて、もれることなく記録しました。

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消えゆくふるさとを映像で残すために、住民12名が中心になり、「ふるさと津島を映像で残す会」を2019年5月に結成。ドローンを使用して全520戸あまりの家屋を空撮するプロジェクトをスタートさせました。

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しかし人気番組「ポツンと一軒家」のように、人里離れた山奥に点在する家屋も少なくありません。そのうえ、10年間も整備していない道路は荒廃し、足を踏み入れることさえできません。

DVD「ふるさと津島」

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津島のことを、全国の方々に広く知ってもらうため、「消えゆくふるさとの最後の7つの物語」として70分の映像でDVDにまとめました。これは私たちの今の想いを伝えるインタビューと、ドローンで空撮した映像の一部を収録したものです。クラウドファンディングで多くの方々に支えられ、完成させることができました。

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そして現在、津島の全520戸余りをドローンで空撮した『ふるさと津島 完全記録集(仮題)』DVDセットを編集中です。2020年末の完成を目指し、家屋と家主の照合作業も進めています。このDVDセットは、ふるさとを離れて避難生活を送る津島の住民に配布する予定です。

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