top of page
執筆者の写真ふるさと津島を映像で残す会

「津島の記憶残したい」 ドローンで空撮 DVD完成(朝日新聞)




 福島県浪江町津島地区の有志の会が、家屋や学校、墓地など560カ所をドローンで撮影し、DVDをつくって販売を始めた。津島地区は福島第一原発の事故のため、いまも帰還困難区域となっている。有志の会のメンバーは「土地の記憶と生きた証しを残し、世代を超えて津島の記憶を残したい」と話している。


 DVDは「津島の記憶」のタイトルで、3枚組み計250分。津島地区の有志12人でつくる「ふるさと津島を映像で残す会」(佐々木茂会長)が制作した。  津島地区は、原発から北西に30キロほど離れたところにある。東日本大震災前は約1400人が生活していたが、原発事故のため現在も帰還困難区域として立ち入りが制限されている。  DVD制作のきっかけは2019年6月から計画されていた地区内の住宅解体だ。地区の一部が特定復興再生拠点となり、国が除染を進めた後、23年3月に避難指示が解除されることになった。ライフライン整備などのために、解体工事が始まろうとしていた。


 「このまま津島の風景がなくなっていいのか。せめて映像で残そう」。有志12人は、その年の5月に会を立ち上げ、映像を撮影することを決めた。


 撮影やインタビュー、編集などを担ったのはフリージャーナリストで映画監督の野田雅也さん(46)。野田さんは大震災翌日の3月12日から福島に通い続け、飯舘村の酪農家らを追ったドキュメンタリー映画「遺言 原発さえなければ」などをつくった実績がある。


 「一つの地区のことを記録に残すのは有意義で、ぜひやりたい」。野田さんは快諾した。


 19年6月から、地区の家屋や事業所など一軒一軒の撮影を始めた。草木が伸び放題で近づけないところが多いため、ドローンを使った。メンバーの土地勘や住宅地図を頼りに撮影を進めたが、家屋が見つからず、木々を分け入って探したこともあったという。


 八つの行政区の区長たちのインタビューや、地元住民が撮影していたお祭りや運動会の様子も収められている。音楽には、津島地区に伝わる伝統芸能「田植踊り」を演奏する太鼓や笛の音を使った。


 昨年、70分の簡易版「ふるさと津島」を販売したのに続く今回の完全版では、撮影した560軒のうち住宅が約500軒。すでに亡くなっている所有者もいたが、1軒ずつ世帯主の名前が紹介されている。


 佐々木さんは「原発事故の影響と、震災前にここでどんな人たちが暮らしていたかを想像しながら見てほしい」と話す。野田さんは「復興から取り残され、なくなろうとしている地区があることを知ってほしい」と訴えている。


 DVDは会のホームページ(http://furusato-tsushima.com)で販売している。「津島の記憶」は3千円(税込み)、「ふるさと津島」は千円(同)。(滝口信之)


滝口信之2021年6月18日 10時30分


閲覧数:35回0件のコメント

Comments


bottom of page